日々は荒野

たとえば胸の内の果て

風が強すぎて 大声をあげても聴こえない

違う場所では風などなくて

そこではどこからか歌が届く

小さなうた声

叫んでも歌にしか 聴こえない そんな

自分の中の齟齬が悲しいよ

どうして言えないのだろう

どうして誰にも言えないのでしょうか

嘘をついてしまう 日常的にそれは無意識に

嘘をついてしまう 日常的にそれは無意識のうちに

誰といても どこにいても

満たされないよね 私たち

やさしい女

いつでもひとりでいたかった
それが強さでないと知っても

あまりに辛くて変わってしまった
柔和な心を忘れてしまった

感情の機微以上に夢中になれるものが
私にあれば

孤独をごまかす道具に
私はあなたのことを使っているのか

耳を塞ぎたい 裸足で歩いた道も
あなたのことも 思い出せなくなるから

薄れてく日々に あなたの声が
名前がもう わからない

愛してるわ 愛してたわ
泣かないでね 泣いてないといいけど

郊外

さめる郊外の夜 夢みる心地
守られたいとは思わない

ひとりでいたいと 望むことは
たとえば誰かを傷付けているの

どうして悲しみは
透き通ってゆくように 感じられるのでしょうか
どうしてそれに人は
見入ってしまうのでしょうか

本当の意味を教えて
うそでいいから
あなたの声をきかせて
そんな夜を待ってる
そんな夜を待ってた

気をつけて

置いてゆかないで
離れてゆかないで
私の言葉たち 置いてゆかないで

あなたを入口に連れてゆこう
出口には鍵を かけたからいいでしょう

憶えていてほしい
あなたが育ててきた
孤独も喜びも すべては過ぎ去る

言葉を捨てたい 裏切るそれを
本当の意味を 私に教えて

私の言葉たち

置いてゆかないで…

舞台

磔にした 心に

見せ物にした 自分に

誰かが花を飾って

見れるようにしてくれた

あなたの胸が 優しい胸が

僅かに残った私を崩した

ひとりにしないで まだ

慣れていないから まだ
抱き寄せていてこのまま

抱きしめてみてこのまま

あなたの胸が 優しい胸が

私を落としてしまったそこへ

すべては過ぎて やがては消えて

それでも期待をかけてしまうね

磔にした 心に

見せ物にした 自分に

伝えてやって 夢を見るのと

間もなく人は

私の噛んだ砂 
あなたの舐めた孤独
それらが与えた希望

彼女は死んだけど
私は死ななかった

あなたは生きたけど
もう忘れてしまった

私の中で渦巻くもの
それは息苦しく

あなたの中で渦巻くもの
それを支配できたなら できたならば

声に流して 声に流してしまおう
言葉にはせず 言葉にはせずに

間もなく人は 変わるというけど
どうしていつも 幸福とは愛をさすの